ゴスペルのおはなし

ゴルペル(Gospel)ってなに?

みなさん、こんにちは。今回と次回のコラムでは、おかたいテーマから離れて、私が長年趣味としてきたゴスペルについてお話ししたいと思います。

ゴスペル(Gospel)とは、基本的に米国の黒人キリスト教会で歌われる讃美歌を指し、「God Spell(福音)」を語源としています。わが国ではWhoopi Goldberg が主演した『天使にラブソングを(原題:Sister Act)』(1992年)で歌われている曲のジャンルとして広く知られるようになりました。
ゴスペルの定義について、「神様を讃える曲はすべてゴスペル」と言われるように、そのスタイルは多様です。しかし、クワイヤ(聖歌隊)が共通の衣装を着て、手を叩きながらアップテンポの曲を熱唱するスタイルが一般的なイメージではないでしょうか。

クワイヤは通常、声の高い方から順番に、(女性)ソプラノ⇒メゾ⇒アルト、(男性)テナー⇒バリトン⇒バスの6声のパートで編成されますが、日本では男性メンバーが圧倒的に少ないため(経験上男女比は1:20ぐらい!)、男声はテナーのみになることが多いです。

本来バリトンの私もテナーの高音が出せるよう、普段から(カラオケで)練習しています。

ゴスペルとの出会い

私は「アマチュア・ゴスペル・シンガー」を自称(笑)、現在あるゴスペル・スクールの主宰するクワイヤ(聖歌隊)に所属しており、ゴスペル歴はちょうど10年になります。「何でゴスペルを始めたんですか?」とよく聞かれるので、今回はその経緯を。

友達に不良系(?)が多く、もともとロックン・ロール大好き青年だった私は、ファンだった浜田省吾のコンサートによく行っていました。特に、彼の『土曜の夜と日曜の朝』という曲は、その歌詞が、社会人になって上京してきたばかりの私がライブハウスに入り浸っていた六本木の街をほうふつとさせ、大好きなナンバーでした。その中に「とびきりのR&B(リズム・アンド・ブルース)」というフレーズが出てきます。


「R&Bってどんな音楽なんだろう?」と関心を持った私は、レンタル・レコード店でR&Bのヒット曲を集めたオムニバス版を借りることにしました。そして、ときにメロウに、ときにパワフルに、哀愁感たっぷりに歌い上げられる「ブラック・ミュージック」を初めて耳にし、衝撃を受けることになったのです。
今思い出すと、そのアルバムは、1曲目に Otis Redding の The Dock of the Bay、2曲目にBen E KingのStand by Me、他にもSam Cooke、Sam & Dave、Aretha Franklin(先般惜しくも他界しました)といった錚々たるメンバーの名曲が散りばめられた絶好のR&B入門版でした。

その後、このR&Bをベースに、ブルース、ジャズ、ソウルといったブラック・ミュージックを何でも聴きかじっていた私は、ある時、有名なミュージシャンたちの多くが、幼いときに教会で歌を歌っていた経験をもつことを知りました。「ブラック・ミュージックのルーツは教会音楽にあるのかもしれない。」この漠然とした思い・好奇心が、私がゴスペルと出会うきっかけとなりました。

ちなみに、私はクリスチャンではなく仏教徒です。

おススメのゴスペル曲

ゴスペルのよさを知っていただくには、実際に聴いていただくのが一番です。入門編として、私のお気に入りの曲を、いくつかリストアップしてみましょう。

1. Oh Happy Day

『天使にラブソングを2』の劇中でも歌われたゴスペルのスタンダード・ナンバー。罪を清められた幸せな日々の喜びを、ソリストとコーラスの明るく力強いハーモニーで歌い上げられると、まさにhappyを感じられる名曲です。

2. Nobody Knows the Trouble I’ve Seen

いわゆるスピリチュアル(黒人霊歌)の名曲。「だれも私の苦しみを知らない」という悲しみを歌う一方で、「でも主イエスだけはわかってくださる」という希望のメッセージも込められています。Mahalia Jacksonのバージョンがjazzyで秀逸。

3. Amazing Grace

あまりにも有名なスピリチュアル・ナンバー。奴隷商人から牧師に転じたJohn Newtonによって書かれました。道を踏み外しさまよえる自己の魂が、神の恵みに目覚めた敬虔な心境が美しいメロディで歌われます。

4. Joyful Joyful

私は毎年、日本のゴスペル界の先駆者である亀渕友香(昨年他界)が創設したThe Voice of Japan (VOJA)というプロのゴスペル・グループのクリスマス・コンサートに参加しバックで歌っていますが、そのオープニングを飾る1曲です。これも『天使にラブソングを2』の挿入歌。原曲はベートーベンの第9の『歓喜の歌』ですが、オリジナルの歌詞が付けられ、リズムも16ビートにカッコよくアレンジされています。

5. People Get Ready

これは米国のR&Bグループ・The Impressionsが発表したメロウなナンバーで、公民権運動が題材になっています。「聖地行きの列車に乗りなさい。荷物もチケットもいらないよ。ただ神様への忠誠があればいい。」あのRod Stewartもカバーした私の大好きな1曲で、発表会でソロで(!)歌ったことがあります。

まとめ

ゴスペルは信仰に関係なく、みんなで楽しく歌える楽曲です。「私音痴なんだけど。」「楽譜読めないんだけど。」・・・そんな心配は一切ご無用。ぜひ趣味のひとつに加えていただけたらうれしいですね。

石黒 秀明

石黒 秀明

石黒秀明国際租税研究室 室長

国税調査官として国税庁・国税局を中心に23年間国税の職場を経験、加えて4年間の財務省勤務経験。
大学院教員、租税法学者として租税法の教育・研究活動に従事。
国際協力機構(JICA)技術協力プロジェクトの税務専門家としてモンゴルなど開発途上国5か国の税務行政能力の向上に貢献。
税理士、支部税務支援対策部委員として納税者の適正申告をサポート、困難な税務調査事案への対応で経験・知見を活かした交渉力の行使により早期の調査終了、納税者の安心回復を実現。

自らの知識と経験を活かした教育・支援活動により理想的な租税社会を構築していきたいとの想いから、「公益」と「啓蒙」を自己の活動理念とし、グローバルな租税正義の実現の一助となるべく多分野において日々奮闘している。
趣味はゴスペルとエアロビクス。

PAGE TOP
MENU
お問合せ

TEL:03-6361-9795

(月 - 金 9:00 - 18:00)カスタマーサポート